劉封の最後
先主「なぜ、雲長を見捨てたのだ」
劉封「関将軍なら、負けはしないと」
先主「雲長は、何度も貴様に援軍要請をしているのではないか」
劉封「山中の郡が、まだ従属したばかりで、動揺を与えてはなるぬと」
先主「そんなもの。孟達にまかせて、貴公が軍を率いれば雲長を助けられたのたぞ」
劉封「いえ、孟達は魏に奔ったように、信用できません」
先主「孟達が魏に奔ったのは、雲長を見捨てた罪悪感と、貴公とのトラブルが原因だ」
劉封「父上」
先主「父上と呼ぶな。我が兄弟を見捨てた。輩が」
劉封「...」
先主「まあ、よい。暫く謹慎しておれ。後日沙汰をだす」
劉備退場。劉封、崩れる。
先主「軍師殿。劉封の処分をどうしたらよいと」
諸葛亮「陛下は、どのように考えを」
先主「劉封は、確かに雲長を見捨てたが、それでも、我が養子。命は助けてやりたい」
諸葛亮「命を助けるのですか」
先主「そうだ。アイツ武勇は高い。儂が亡き後、劉禅のよい助けとなるであろう」
諸葛亮「(劉封殿は剛勇。あれでは阿斗様(劉禅)だと制御がきかなくなる。後の災いとなる。この際、彼を除くようにしないと)」
先主「どうした。軍師殿」
諸葛亮「髭殿を見捨てたのは大罪。例え、養子であるとも、その罪は消えませんよ」
先主「確かに、雲長を見捨てたのは許せん。しかし、蜀は人材がいない。今は、そこを抑えて起用すべきでは」
諸葛亮「陛下は、それでもいいかもしれませんが、他の者がどう思いますか」
先主「いや、武将たちは我が話せば分かってくれるであろう」
諸葛亮「確かに、陛下が話せが理解してくれるでしょう、では亡き後はどうなりますか」
先主「我が亡き後だと」
諸葛亮「はい。そうです。陛下が亡き後です」
先主「どうなるというのだ」
諸葛亮「はい。殿の特別な温情で命を救われた劉封殿。武勇にも優れている。後継者争いに名乗りでるでしょう」
先主「しかし、劉封は養子であるぞ」
諸葛亮「養子でも、実子でも関係ないですよ。後継者であれば」
先主「後継者争いがおこるというのか」
諸葛亮「殿、袁兄弟と、劉兄弟を思い出して下さい」
先主「袁紹殿と劉表殿のお子たちをか」
諸葛亮「はい」
先主「しかし、劉封は養子。袁兄弟と劉兄弟のように家督争いにはならであろう」
諸葛亮「いいえ。養子であろうとも、それは殿の子であります。殿亡き後、どうなるかは分かりません」
先主「軍師殿は、劉封を殺せと」
諸葛亮「はい。髭殿を見捨てた事。今後の事を考えれば、それが上策であります」
先主「軍師殿、帥が存命中は、大丈夫ではないか。我がいないでも、軍師殿がおれば、そんな事にならないであろう。
諸葛亮「(確かに、私がやれば抑えられるかもしれない。しかし最終的には劉封殿を殺さねばならない。その時、我でやれば国中の批判をあび、漢(蜀漢)の存在そのものが危険にさらされる。それだけは避けねばならない。それに火中の栗は拾いたくないモノだ)いや、我が力をもってしても、それは無理かと」
先主「...わかった。そちの言う通りにしようが、軍師殿、」